商談のこつとは?成約率を上げる準備と進め方の手順
この記事の要点
- 商談のこつは事前仮説を立て、ヒアリングを終えるまで自社提案をしないこと
- 60分商談なら冒頭5分、質問約30分、提案約15分、締め約10分が基準
- 商談の終わりには次回日程をその場で決め、決定事項を当日中に共有する
商談のこつは、事前の仮説立てと「ヒアリングを終えるまで自社製品の提案に入らない」という対話の順序を守ることにあります。顧客が抱える課題の背景や決裁基準を先に整理できれば、提案段階でのズレを防ぎ、合意形成をスムーズに進められます。
営業活動において「話がうまく噛み合わない」「提案書を見せても相手の反応が薄い」と悩む担当者は少なくありません。本記事では、営業担当者や営業マネージャーに向けて、商談を「準備→冒頭→ヒアリング→提案→クロージング→振り返り」の各場面に分解し、次の商談ですぐに使える具体的な進め方と注意点を紹介します。
商談の全体像と6つのステップ
商談を成功に導くためには、一連の流れを構造化して捉える必要があります。商談の場面は、以下の6つのステップで進行します。
- 準備(事前リサーチと仮説構築)
- 冒頭(アイスブレイクとアジェンダ共有)
- ヒアリング(現状把握と課題の深掘り)
- 提案(解決策の提示と事例共有)
- クロージング(懸念点の解消と次の行動の合意)
- 振り返り(議事録送付と案件の記録)
商談でつまずく多くの要因は、準備不足のまま提案を行ってしまう点にあります。それぞれのステップで押さえるべきポイントを順を追って見ていきます。
場面1:商談前の「準備」のこつ
商談の成果は、本番前の準備段階でおおよそ左右されます。相手企業の公開情報を調べるだけでなく、課題の仮説まで立てておくことが欠かせません。
企業情報の調査と課題の仮説立て
商談前に顧客の企業サイトやニュースリリースを確認し、事業内容、直近の注力分野、採用動向などを把握します。中小企業との取引においては、経営環境や公的な支援施策の動向を把握することも役立ちます。国の施策動向や支援スキームの全体像を確認する際は、中小企業庁の公表資料などが参考になります。
収集した情報をもとに、「現在の業界環境であれば、業務の効率化や人員不足に課題を抱えているのではないか」といった仮説を最低でも2〜3通り用意します。
商談時間の設計(時間配分の目安)
標準的な60分の商談の場合、時間配分の目安は次の通りです(所要時間は相手の状況によって幅があります)。
- 冒頭・自己紹介:5分程度
- ヒアリング:25分〜30分程度
- 提案・質疑応答:15分〜20分程度
- クロージング・次回日程の合意:5分〜10分程度
自社の説明に時間を使いすぎず、顧客が話す時間を全体の半分以上確保することが重要です。

商談を録画すると、話す割合・口ぐせ・沈黙・質問の数をAIが見える化します。受注できた商談との違いも比べられます。分析は無料、登録は30秒です。
無料で商談を分析する →場面2:商談「冒頭」のこつ
冒頭の数分間は、商談全体の雰囲気を整え、顧客の安心感を引き出す時間です。
アジェンダの共有と終了時間の確認
挨拶を終えたら、本日の商談の流れと終了予定時刻を最初に伝えます。相手の合意を得てから進めることで、主導権を保ちつつ安心感を提供できます。
そのまま使える言い回しの例:
「本日は〇〇の件で30分ほどお時間をいただいております。本日の流れとしては、まず御社の現在の状況を伺い、その後に弊社の解決策をご案内できればと考えております。終了時間は15時を予定しておりますが、お時間はよろしいでしょうか」
録音・録画を行う場合の注意点
オンライン商談などで記録のために録音・録画を行う場合は、相手の同意を先に取ることが必須です。事前の確認なく記録を開始すると、相手に不信感を与えてしまいます。
そのまま使える言い回しの例:
「本日の打ち合わせ内容に漏れがないよう、記録用に録画を行ってもよろしいでしょうか。社内での振り返りおよび議事録作成のみに使用いたします」
場面3:「ヒアリング」のこつ
ヒアリングは、顧客自身も気づいていない潜在的な困りごとを浮き彫りにする重要なプロセスです。
尋ねる順序(現状→課題→影響)
質問は「現状」から入り、次に「課題」、最後に「その課題がもたらす影響」へと深掘りします。いきなり予算や導入時期を聞くと、警戒心を持たれやすくなります。
- 現状の確認:「現在はどのような体制で業務を進めていらっしゃいますか」
- 課題の確認:「その進め方の中で、特に手間に感じられている部分はどこでしょうか」
- 影響の深掘り:「その作業によって、本来注力したい業務にどの程度影響が出ていますか」
具体的な数字を聞き出すことも大切です。例えば「売上が落ちた」という発言に対しては、「前年比でどの程度変動されたとお聞きしてもよいですか」と尋ねることで、問題の深刻度を正確に把握できます。
課題を深掘りするフレーズ例
顧客が漠然とした不満を口にしたときは、背景を掘り下げる質問を投げかけます。
そのまま使える言い回しの例:
「先ほど〇〇とおっしゃっていましたが、具体的にどのような場面でそう感じられますか」
「その点について、社内ではどのような対策を検討されてきましたか」
場面4:「提案」のこつ
提案フェーズでは、自社サービスの機能を網羅的に話すのではなく、ヒアリングで確認した課題の解消に絞って伝えます。
課題と解決策を1対1で対応させる
「御社が課題と感じられている〇〇に対して、弊社のこの機能が活用できます」という形式で説明します。顧客の関心がない機能の説明は省き、相手の課題解決に直結する部分だけを重点的に案内します。
近しい業種・課題の事例を提示する
提案の説得力を高めるには、顧客と事業規模や業界が近い企業の事例を提示するのが有効です。
そのまま使える言い回しの例:
「御社と同じ製造業で従業員規模が50名ほどの企業様では、導入から3か月ほどで入力作業の所要時間を約30%削減されたケースがあります。ただし、導入効果や定着までの期間は運用体制によって幅があります」
成果の数値を示す際は、前提条件や組織体制によって結果に幅が出る旨を誠実に伝えることが信頼につながります。
場面5:「クロージング」のこつ
提案が終わった後は、その場で受注を迫るのではなく、検討にあたっての障壁を一緒に整理します。
懸念点の解消とネクストアクションの特定
提案内容に対する感想を伺い、導入に向けたハードルを確認します。
そのまま使える言い回しの例:
「本日ご提案した内容について、懸念される点や社内で議論になりそうな部分はございますか」
懸念点が出た場合は、その場で回答できるものは回答し、社内調整が必要なものは次回までの宿題とします。最後に「誰が・いつまでに・何をするか」を取り決め、次回の打ち合わせ日時をその場で確定させます。
場面6:「振り返り」のこつ
商談終了後の初動が、次回の商談の質を左右します。
議事録の即日送付
商談終了後、おおよそ24時間以内(可能であれば当日中)に議事録と御礼メールを送付します。商談で合意した決定事項、次回までのToDo、次回日程を簡潔にまとめて伝えます。
商談内容の記録と改善
営業マネージャーやチームと振り返りを行う際は、ヒアリング内容が的確だったか、次回アクションの合意が取れているかを検証します。記録に残すことで、失注リスクの早期発見や次の提案内容のブラッシュアップが可能になります。
よくある失敗例と対策
商談で成果が出ない場合、以下のような典型的な失敗に陥っているケースがあります。
失敗例1:会社説明だけで商談の大半を消費する
自社の沿革やサービス概要を冒頭から20分以上話してしまい、顧客の課題を聞く時間がなくなるケースです。顧客が知りたいのは「自社の課題が解決できるか」であり、会社概要ではありません。会社説明は2〜3分程度に留め、早めにヒアリングへと移る必要があります。
失敗例2:予算や決裁ルートを確認せずに提案書を作る
顧客の関心が高そうに見えたため、決裁フローや検討時期を確認せずに詳細な見積もりを作成してしまうケースです。結果として「社内の承認が通らない」「来期の検討だった」となり、商談が長期化します。ヒアリングの段階で「ご導入にあたって、どのような承認手順が必要になりますか」と確認しておくことが対策となります。
失敗例3:宿題の期限を決めずに商談を終える
「検討してご連絡します」という言葉をそのまま受け入れ、次の予定を決めずに終わってしまうケースです。連絡が途絶える原因になるため、商談の場を終える前に「社内検討に必要な期間を考慮し、来週の木曜日か金曜日に一度進捗を確認させていただいてもよろしいでしょうか」と打診し、次回の接点を確保することが欠かせません。
まとめ
商談のこつは、事前の仮説構築、顧客中心のヒアリング、そして明確なネクストアクションの合意という手順を徹底することです。次の商談に臨む際は、まずアジェンダの共有と終了時間の確認から意識して実践してみてください。
よくある質問
- Q. 商談で沈黙が起きたときはどう対応すべきですか?
- A. 相手が思考を整理している時間であるため、焦って話し続けず数秒間待ちます。相手が話し出さない場合は「今のご説明で分かりにくい点はございましたか」と落ち着いて確認します。
- Q. オンライン商談で録画を断られた場合はどうすればよいですか?
- A. 録画の同意が得られない場合は即座に承諾し、手元でのメモに切り替えます。無理強いをせず「承知いたしました。手元でメモを取り、終了後に要点を共有いたします」と伝えて進めます。
- Q. 決裁権のない担当者との商談では何をゴールにすべきですか?
- A. その場での受注ではなく、決裁者が同席する次回商談の設定や、担当者が社内稟議を通すための支援(比較検討資料の提供など)をゴールに設定します。